シングル、ダブルの耐久調整の考え方の違い

ポケモンというゲームにおいて試合の勝敗を左右する要素に、プレイングやパーティ、確率などの要素がありますが、その一つが努力値調整による実数値の違いです。
前回のペルシアン調整記事での質問がありましたので、調整についての考え方をいくつかツイートしましたが、あまりにも長くなりすぎたのでこちらにまとめさせていただくことにしました。
今回のテーマはタイトル通り「シングルバトル、ダブルバトルにおいての耐久調整についての考え方やその違い」です。

まず、シングルバトルから話をさせていただきます。こちらはサンムーン時代かなり愛用していたカバルドンの調整です。

f:id:Yucco_magic:20180124230241g:plain 228-0-148-×-132-0 性格:わんぱく
実数値 212-132-172-×-109-67
調整意図
・HP4n
ミミッキュつるぎのまいじゃれつくZ耐え
 ・カプ・コケコの眼鏡草結び耐え

なぜこの調整かというと理由は簡単で、ミミッキュの攻撃を耐えること、カプ・コケコを処理することが『このポケモンの役割』に直結しているからです。
シングルバトルにおいて、そのポケモンの役割に忠実な努力値調整は、時に試合を大きく変えます。
なぜなら、例えば相手のカプ・コケコの攻撃を『全て』ラッキーで受ける と言うと、ラッキーが倒れない限りこれが可能なんですよね。受けきれるかどうかは別として、です。
『カプ・コケコの攻撃をラッキーで受けたかったのに、ドヒドイデで受けてしまった』なんてことは、基本ありません。
たしかにラッキーが10万ボルトを2発耐えられるHPでない場合、ドヒドイデを捨てる必要性があるという話にもなってきますが、今回の話はそんなことではありません。『相手の場にカプ・コケコがいるなら、ラッキーを出す』たったこれだけで、カプ・コケコの攻撃を100%ラッキーで受けることができますね。とても簡単で基本的な話です。逆に、これができなかったら受けループなんてパーティはこの世界に存在しません。まあ、特性影踏みや追い討ちなど、イレギュラーは存在しますけどね。

何が言いたかったかというと、シングルバトルにおいての調整は、物理受け、特殊受けのような役割を含めて、「具体的な仮想敵に合わせて調整する方がよい」ということです。これは、攻撃面、防御面、素早さ面、そのすべてに共通して言えることです。


では、ダブルバトルではどうでしょうか。
カプ・コケコの攻撃を100%ラッキーが受けることが可能かというと、そうではありませんよね。
ギャラドスに飛んでくる電気技を、ラッキーに引くことで耐えた。シングルバトルではよくある動きが、ダブルバトルにおいては「で?それで?」となるのが関の山です。カプ・コケコが次のターン、ラッキーではない方向に攻撃技を撃つと、たったそれだけで『カプ・コケコの技をラッキーで受ける』というプランが崩壊します。さらに、ラッキーは攻撃面でカプ・コケコに対する遂行力が低いですから、このことがさらに拍車をかけています。具体的にいうと、放置されることに繋がります。

ここまでは誰でもわかるような単純な話なのですが、重要なのは「具体的な仮想敵に合わせて調整することに意味がない」ということ。これは防御面において強く言えることです。攻撃面にも当てはまります。(ただし素早さ面はそうとはいきません。これはテーマと少しずれるためここでは話しません。)

では、どのように調整するのか。例として、こちらがダブルバトルで最近愛用しているカビゴンの調整です。お借りした調整です。

f:id:Yucco_magic:20180124220103g:plain52-236-220-×-0-× 性格:ゆうかん
実数値 242-176-113-×-130-31
調整意図
・A11n
・H=B+Dに最も近い
・H2n

え?と思う人もいると思います。理由はダメージ計算について一切触れていないからでしょうか。シングルバトルの調整を見慣れている人にとって、特化する努力値采配を除いて、ここまでざっくりした調整内容はあまり見ないと思います。

ダブルバトルにおいての耐久調整において最も優先することは、H:B:D=2:1:1に限りなく近づけることです。もしくは、H=B+Dでもいいです。理由はいずれ話すとして、B:Dの比率をどのように設定する場合であっても、H=B+Dの法則は守ったほうが効率がいい(ダブルバトルプレイヤー:ジロウさんの言葉)のです。
ハリテヤマのようなHPの種族値が高いポケモンがHAに振るよりADなどにしたほうが効率が良いという場面があるのはこのことが理由です。

では、なぜB:D=1:1にすることが好ましいと考えるのか。それは、先ほど話した「具体的な仮想敵に合わせて調整することに意味がない」ということに関連しています。
例えばドヒドイデはシングルバトルにおいては『物理受け』の役割を持たせるためにHBにその多くを割いている人が多いと思います。これはきわめて合理的です。間違いではありません。
しかしダブルバトルにおいて物理受けや特殊受けという役割が果たせないのは、カプ・コケコの話の通り、「仮想敵の攻撃が飛んでこない」という点と、それに加えて「仮想敵じゃないポケモンから攻撃が飛んでくる」という点にも理由があります。
極端な対峙を想定するなら、例えばローブシン+カプ・コケコとドヒドイデ+ラッキーでしょうか。シングルバトルであれば、『ローブシンの攻撃をドヒドイデで受ける』、『カプ・コケコの攻撃をラッキーで受ける』が可能なのですが、ダブルバトルでこの対峙になると『ドヒドイデはカプ・コケコの攻撃を受ける』、『ラッキーはローブシンの攻撃を受ける』というかなり不利な試合展開になってしまいます。

このことから知っていただきたいのは、ダブルバトルにおいては、基本的に自分に不利な技が飛んでくる」ということです。
ですから、物理受けであっても特殊技を受けることを想定しなければなりません。だから、物理受けという考えがそもそも成立しません。
そして、最も多くのパターンに対応する必要が出てくるとなれば、B:Dを1:1にする他ありません。その結果ドヒドイデのDに努力値を割く必要があるし、Bが低いカビゴン努力値で補う必要が出るわけです。
したがって、B:D=1:1、HP=B+Dの両方を満たしたものが最も効率がよく、合理的な配分になります。


今回この記事のまとめとしては、
➀シングルバトルにおいては役割を意識してダメージを計算しながら調整する。
ダブルバトルにおいては役割は意識せず、H=B+Dを優先的に、HP:B:D=2:1:1の形に最も近くなるように調整する。
以上の2点です。